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J-POPを超えたK-POP⁉︎ BTS(防弾少年団)が世界で認められた理由

 

一時期のブームに比べれば、やや勢いが衰えたようにも思えるK-POP

いやいや、それはあくまでも日本でのこと!

 

K-POPの人気は、すでにアジアを越え欧米にまで拡大しており、いまやアジアのミュージック・シーンを牽引する存在となっています。

その中でも、目覚ましい活躍で、アジアだけでなく世界から注目されているのが「BTS(防弾少年団)」。

 

今回は活躍の場を世界に移したK-POP、とくにBTSの魅力を探ってみたいと思います。


BTS(防弾少年団)とは?

まずは彼らのことを知らない人のために、簡単にBTSについてご紹介します。

BTS」とは、2013年に韓国でデビューした、7人組のヒップホップ・ボーイズ・グループ。

防弾少年団」は日本語訳ですが、その由来は、“10代・20代に向けられる社会的偏見や抑圧を防ぎ、自分たちの音楽を守り抜く”という意味を込め、彼らの総合プロデューサーが名付けたそうです。

なかなか深い意味があったんですね。

 

ちなみに「ビー・ティーエス」は、韓国語での呼び方である「Bang Tan Sonyondang(バンタンソニョダン)」の頭文字です。


BTS (방탄소년단) 'No More Dream' Official MV

 

K-POPと言えば、やはりスタイル抜群で端正な顔立ちのアイドル!という印象があります。

その点において言えば、BTSも例外ではなく、アイドルと呼んで間違いはないでしょう。

 

ですが、彼らの楽曲やステージからはアイドルらしからぬ空気が漂ってきます。

それもそのはず、もともとBTSは「ヒップホップオーディション HIT IT」から選出されたメンバーが中心で、当初はヒップポップ・グループとして活動する予定でした。

 

ですが、途中からコンセプトが変わり、アイドル路線へと傾倒し、ラップだけでなく歌やダンスにも力が入れられました。

その結果、アイドルとして魅せる顔、自分をさらけ出すアーティストとしての顔、その両方をもったヒップポップ・アイドルBTSが誕生しました。


日本のアイドルとは違う!? 韓国のヒップポップ・アイドル

日本では、あまりヒップポップを前面に押し出したアイドル、というのはピンときません。
ヒップポップというと、なんだか“やんちゃ”で挑発的なイメージがありますからね。

笑顔を振りまくアイドルには似つかわしくない。(あくまでも日本人が思うアイドルのイメージですけど)

 

ただ、韓国では決して珍しいことではありません。

韓国は言わずと知れたヒップポップ大国であり、K-HIP HOP(コリアン・ヒップホップ)のファンは世界中に増えつつあります。

アイドルが楽曲中にラップを入れることも、ヒップホップど真ん中のアイドルがいるのも違和感がないわけです。


BIGBANG - HARU HARU(하루하루) M/V

 


BLACKPINK - 'Kill This Love' M/V

 

年齢やルックスなどからアイドルと位置づけられるだけで、日本とは比較にならないほど、韓国の音楽シーンにはヒップホップ(ラップ)が浸透しています。

韓国語の言語的特徴、またアメリカのポップ・カルチャーの影響を強く受けていることなどが要因として考えられます。

 

ヒップホップ・アイドルの中でもBTSが突出しているのは、楽曲のクオリティとパフォーマンスの高さ!

ヒップホップ色が強かった初期に比べ、2015年あたりからはポップでメローな楽曲も加わり、サウンドも洗練されました。

MVもダンスシーンを中心にしたものだけでなく、よりストーリー性に重きを置いた作品が増えました。


[MV] BTS(방탄소년단) _ I NEED U

 

オリジナル・ラップに磨きをかけてきた彼らが、いったいどれほどの努力をして歌とダンスの技術を手に入れたのか。

そのストイックさ…本当に頭が下がります。

 

事実、他のグループよりBTSの練習量は多く、音楽に取り組む真摯な姿勢は韓国国内でも高く評価されています。

揺るぎない信念をもちながら、それでいて型にとらわれない柔軟さと挑戦心があったからこそ、BTSは韓国のスターからアジアへ、そして世界のスターへと歩みを進めることができたのでしょう。


韓国人アーティスト史上初の快挙!躍進するBTSの軌跡

韓国の音楽・アーティストをもっとも印象づけたのは、やはり2012年の「カンナム・スタイル」でしょうね。

お世辞にもイケメンとは言い難い、おじさんラッパーPSYの“乗馬ダンス”?は世界にインパクトを与えました。

 

有名アーティストやセレブが、あちこちであのダンスを披露していたくらいです。


PSY - GANGNAM STYLE(강남스타일) M/V

 

PSYの成功により、言葉の壁を超え、“韓国語のポップ・ミュージック”が世界に通用することが証明されました。

このことは、今日のBTSをはじめとするK-POPの市場拡大に大きく影響したと言えます。

 

「カンナム・スタイル」のヒットから数年経った2016年、BTSのアルバム『WINGS』が、アメリカのビルボード200で26位にランクイン。

これは韓国歌手至上最高ランクです。

 

そして、ついに2017年5月、Billboard Music Awardsのトップ・ソーシャル・アーティスト部門に輝き、韓国人アーティスト初のビルボードアワード受賞という快挙を成し遂げたのです。

これは韓国のみならず、アメリカのポップ・ミュージック史に残る歴史的快挙と言えます

同年11月には、American Music Awardsに招待され、欧米の人気アーティストたちと肩を並べ、歴史的なパフォーマンスを披露。

BTSを世界に知らしめました。


BTS on AMA's Performing DNA


BTSのここがすごい!オンリーワンのエンターテイメント

歌唱力、ダンス、ラップスキル。

それらを包括したエンターテイメント性に富んだパフォーマンス。

 

これだけでも十分な気もしますが、やはりショービジネスの世界!アメリカのマーケットを制するには戦略が重要です。

BTSは、アメリカのトレンドを意識しながら、そこに独自の解釈を加え、質の高い音楽とパフォーマンスを作り上げてきました。

 

やりたいことをただやりたいようにして成功できれば苦労はしません。

アジア人が世界に挑むからには世界基準を満たせなくてはならないのです。

その点において、彼らは絶妙なバランスを取っています。

 

“アーティストのようなアイドルになってほしい”というプロデューサーの意向を受け、デビュー当初から楽曲コンセプトを出し合い、全員が作詞・曲に関わってきました。

BTSの音楽は、他から押し付けられたものではなく、彼ら自身が生み出したもの。

 

欧米人が好みそうなトレンドを取り入れつつ、そこに彼ら独自のプロットを散りばめ、孤立することも染まり過ぎることもなく、“K-POPアイドルBTS”という個性を確立したのです。


BTS (방탄소년단) 'FAKE LOVE' Official MV

 

さまざまな音楽をブレンドしながらも、決して媚びていないと思う点は、何と言っても韓国語で歌っているということです。

BTSの楽曲には、全編英語の歌詞という曲がありません。

 

彼ら曰く“アイデンティティーや信念を変えたくない”とのこと。

BTSは、韓国人アーティストとして“全力で挑戦する”とインタビューに答えています。

 

また彼らは、社会の偏見や抑圧、若者たちの苦悩、韓国ではタブーとされるような社会問題などにも臆せずに触れています。

このような点も世界のファンから支持された要因の一つでしょう。


BTS (방탄소년단) '피 땀 눈물 (Blood Sweat & Tears)' Official MV


BTSを世界の舞台へと押し上げたARMYの力

これまで、多くの英語圏外のアーティストが越えられなかった“言葉の壁”。

その大きく立ちはだかる壁をも越えて、彼らが世界の舞台に上がることができたのはなぜなのか?

 

その背景には、巧みなメディア戦略、そして“ARMY(BTSファンの呼称)”の存在が大きかったと思われます。

 

アメリカでは、2012年から“KCON”と呼ばれる韓流フェスが開催されており、最新K-POPの情報発信として大きな役割を担っています。

これによりBTSも新たな英語圏のファンを獲得、コミュニティーの拡大につなげました。

 

テレビ出演がほとんどなかった頃から、彼らは積極的にSNSを使って、自分たちのリアルな声と姿を発信してきました。

世界のどこからでもつながれるYouTubeTwitterなどのソーシャル・メディアを最大限に活用し、グループとファンとの絆を深めてきたのです。

 

ネットの世界であれば、ファン一人ひとりが直接的に彼らに貢献することができます。

例えば、情報の拡散やストリーミングなどです。

 

近年の音楽市場は、CDの販売からデジタル配信へ移行し、現在はストリーミング・サービスが主流となりました。

音楽チャートの指標でも、ストリーミングのデータが大きな割合を占めており、“どれだけ売れたか”ではなく、“どれだけ多く聞かれたか”が評価されています。

 

世界中のARMYたちが大きなコミュニティーを形成し、ファン同士でも絆を深め、BTSをもっと世界の人に知ってほしい!と猛烈に後押ししたわけです。

その結果が、Billboard Music Awardsのトップ・ソーシャル・アーティスト賞の受賞。

BTSは同賞を3年連続で受賞し、2019年はトップ・デュオ/グループ賞にも輝いています。


BTSを追い風に K-POPの勢いは続く!?

BTSに限らず、K-POPアイドルのプロ意識は半端ではありません。

日本でのアイドルは、その未熟さや未完成さを愛でる傾向にありますが、韓国は違います。

極めて過酷な競争社会である韓国では、アイドルになるのも至難の業。

 

デビュー前から徹底的に教育され、どこまでも“完璧”を追求します。

そんな厳しい芸能界でしのぎを削り、勝ち残った精鋭たち!それがK-POPアイドルです。

 

音楽市場として最大なのがアメリカ、次いで日本、イギリス、ドイツと続きます。

いくら韓国が発展したとはいえ、マーケットとしてはとても小さく、国内だけのセールスでは大成しません。

 

国内でそれなりに潤う日本と違い、韓国では自国以外で認められることを前提にした、世界に通用するアーティストが求められて、育てられています。

はじめから気概が違うということですね。

 

BTSの評価は、外国人枠でも外国語部門でもありません。

現に、第一線で活躍する人気アーティストたちに認められ、次々とコラボ曲をリリースしています。

 

2019年4月にリリースされた最新アルバム『MAP OF THE SOUL: PERSONA』には、エド・シーランからの提供曲「Make It Right」も収録されています。


BTS (방탄소년단) '작은 것들을 위한 시 (Boy With Luv) feat. Halsey' Official MV ('ARMY With Luv' ver.)

 


BTS (방탄소년단) 'A Brand New Day (Ft. Zara Larsson) Official MV

 

BTSに続き活躍が期待されているBLACKPINKも、昨年デュア・リパとコラボした「Kiss and Make Up」を発表し、シングルチャート・ホット100にランクインしました。


Dua Lipa & BLACKPINK - ‘Kiss and Make Up’ FMV

 

彼らのビジュアル、アーティスティックな視覚的アプローチも欧米のファンを惹きつけています。

アートの一部のような存在である彼らとの繋がりは、10代~20代の若者にとって大きなモチベーションとなります。

そんなオーディエンスたちの期待と信頼に応えられる限り、彼らの存在価値が失われることはないでしょう。

 

正直なところ、日本人アーティストがMusic Awardsの舞台に立ったり、アメリカの名立たる人気トーク番組に出演したり、グラミー賞の授賞式で喜びのスピーチをする姿は、まだ想像することができません。

 

それでも、BTSの活躍によって、“人種や言語に関わらず、素晴らしい音楽は世界のどこからでも生まれる!”という事実は世界から承認されました。

そのことは、アジアの多くのアーティストたちにさまざまな影響を与えたに違いありません。

 

BTSが開けた大きな風穴!そこに続く第二、第三のBTSに期待したいものです。

 

年代:2010年代

ジャンル:K-POP アイドル


筆者/NOBU
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